株式会社サンギ

研究開発

触媒

「アパタイト触媒が拓くグリーンサスティナブルケミストリー」

私たちの生活には実に多くの石油資源が使われ、将来的な枯渇への懸念とともに地球の環境保全に対する関心が益々高くなっています。

サンギは触媒によってバイオマス由来の原料から様々な有用化学品を製造する技術を開発し、石油資源に依存しない触媒プロセスを目指しています。長年のハイドロキシアパタイトの研究で培った技術を活かして、アパタイトの触媒としての機能を引き出すことに成功し、触媒の工業生産をも可能にしました。

これまでNEDO注1の助成や大学・他企業との共同研究を重ね、TEPIA注2の「平成20年度環境とエネルギー・資源」において注目技術として展示され、環境に優しい技術として紹介されました。サンギはこれからも将来を見据えた、地球と人にも優しい技術の開発を通して持続可能な低炭素社会の実現に貢献すべく尽力していきます。

注1.独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
注2.一般財団法人高度技術社会推進協会


<リンク>
・先端技術館@TEPIA
http://www.tepia.jp/archive/ex080411-090306/main04-02.html
http://www.tepia.jp/archive/ex080411-090306/pdf/apacat.pdf

触媒研究の歩み

サンギの触媒研究は1990年代にバイオガソリンの合成研究からはじまりました。サトウキビやコーンなどの非可食部分を醗酵して得られるバイオエタノールをハイドロキシアパタイト(HAP)に接触させると、ガソリンの代替となる組成物が合成できることを見出したのです。この研究をさらに発展させ、現在ではバイオエタノールから様々な有用化学品の合成や他のバイオマス由来原料による有用化学品合成技術の開発へと広がっています。

HAPは図1に示すカルシウムとリン酸からなるアパタイト型結晶構造であり、この基本構造を大きく変えずに化学的組成を変えることができる、という特徴を持っています。たとえば、結晶構造を維持しながらカルシウムやリンを他の元素に置換したり、一部が欠けたりした状態にすることが可能で、それによって様々な物理化学的な特性を持たせることができます。

サンギはHAPの様々な特性をコントロールする技術を開発し、他の触媒には見られない触媒機能を引き出すことに成功しています。これらの触媒調製技術はビーカースケールから工業スケールにまで発展し、現在ではアパタイト触媒の工業生産を可能にしています。

精密に物性をコントロールされたアパタイト触媒は、実に多様な触媒機能を発揮します。たとえば、エタノールの縮合反応ではより炭素数の多い高級アルコールを選択的に合成することができ、とくに1‐ブタノールは70%以上もの高選択率で得られることを見出しました。

これは従来の固体触媒にはない、ユニークな特徴の一つです。1‐ブタノールは塗料溶剤や可塑剤などの原料として化学工業には欠かせない重要な化学品です。さらにはガソリン代替としてエタノールよりも化学的特性に優れおり、燃料用途としても注目されています。なおサンギの技術は、バイオマス由来のエタノールからこれらの化学品を生産できるので、環境に優しい生産プロセスといえます。

エタノールからは、ブタジエンをはじめとするジエン類の選択的合成もアパタイト触媒では可能です。ブタジエンは自動車のタイヤなど合成ゴムの原料として重要であり、従来石油由来の原料ナフサから生産されています。しかし、昨今のシェールガスの台頭によりナフサの利用が減少することによる深刻なブタジエン不足が懸念されています。

その他にも、大学との共同研究でアパタイト触媒による乳酸からアクリル酸を高選択的に合成する技術も開発しています。乳酸はポリ乳酸の原料として、現在ではバイオマス由来原料から大量に生産されるようになってきており、アクリル酸をバイオマス原料から合成する可能性が見えてきました。アクリル酸は紙おむつなどの高吸水性ポリマーの原料として重要で,需要が急速に増えている化学品の一つです。

アパタイト触媒によるエタノールから1-ブタノールの生成反応

図1 アパタイト触媒によるエタノールから1-ブタノールの生成反応