貿易会社時代、佐久間は出張時に海外の人々がワインを片手に楽しく語らう姿を目にし、日本もゆったりと豊かな生活を楽しむ時代になると確信する。
こうして最初に輸入したのがワインだったが、これが売れなかった。
当時わずかながら飲まれていた日本製のワインが甘く、本場フランスのブルゴーニュ産ワインを初めて飲んだ人は「何でこのワインは甘くないのか」と口に合わなかったのだ。
今でこそワインを好んで飲む人も多いが、この時代はまだワイン党は圧倒的に少数派だった。
貿易会社のサラリーマン時代に築いた人脈を使い、売れそうなものを次から次へと輸入した。
オーストラリアのサーフボード、フランスの高級下着、英国の高圧ホース、果てはインドの卒塔婆なるものまで扱った。だが、ことごとく売れなかった。
「もうやめたほうがいい」悪戦苦闘している彼を見て、周りからそう言われる日々であった。
(写真は、1970年代にサンギが輸入していたフランス ブルゴーニュ産ワイン)
サンギのことをもっと深く知ることができる、 エピソードの数々をお届けします。