NASAの特許技術をヒントに、歯の主成分であるハイドロキシアパタイト(HAP)を配合する修復発想の歯みがき剤開発は困難を極めた。
HAPという物質自体があまり知られておらず、どこからも手に入らない。
それならば自分たちで合成しよう。だがどうやって合成するのか。
サンギは新たに工学部出身の4名の技術者を採用する。
HAPに着目しその研究を進めていた数少ない研究者である、東京医科歯科大学の講師(当時)を助っ人に迎え、いよいよ開発がスタートした。
茨城県岩井市に、地元の農家が建てて計画中止となった食用ウサギの飼育施設があった。運よくこの施設を研究所として格安で調達できた。
周りは竹林で裏は墓地、交通手段は自動車だけ。窓には鉄格子がはまったこの“自社研究所”を初めて目にした4人の技術者は呆然とし、思わず後ずさりして帰ろうとした。
(写真は、現在は使用されていない通称「ウサギ小屋」)