様々な分野の製品開発に取り組んだサンギ。従業員数も当初の60 人から、一気に240 人までに膨れ上がっていた。研究開発型ベンチャーを標榜していたためその半分ほどが研究員。その急成長の結果、社内には明らかにひずみが生じ始めていた。
1993年にむし歯予防効果が認められ、薬用成分「薬用ハイドロキシアパタイト」となった後は、米国への進出を決断し、1994年にカリフォルニアに子会社を設立。 その後、アパガードの大ヒットで自信を深めた佐久間は、現地での活動に本腰を入れる。最大の目的は、米国食品医薬品局(Food and Drug Administration :FDA)にも成分のむし歯予防効果を認めてもらうこと。
しかし、アメリカではフッ素が入っていない歯みがき剤は、むし歯予防の訴求は認められない。それは大きな障害であった。
フッ素以外の成分に同じ効能効果を認めてもらうためには、米国内で3 州における大型臨地試験を行い、その効果を証明する必要があることがわかった。子どもを対象にフッ素が入っていない歯みがき剤を使わせ、万が一むし歯になった場合、それはFDA の責任となる。
その結果、試験実施の許可が出されることはなかったのだ。
こうして「アパガード」の米国進出は挫折し、最終的にはアメリカの子会社をたたみ撤退することになった。2000年のことである。