「芸能人は歯が命」のTVCMが流れるや、美白歯みがき「アパガード」は空前の大ヒット!
当時としては1年分の在庫を準備していたが、その30万本が1週間で底をつき、社員一同呆然となった。
それからが大変だった!全国の流通から「商品をすぐ送ってくれ」という要求が毎日殺到。製造元の日本ゼトックは24 時間体制のフル稼働となる。そうして一時は大手各社を抑え、歯みがき剤市場でおよそ20%のトップシェア*を獲得し、売上140億円を稼ぐこととなった。
サンギのバブル景気のスタートだった。その後、「芸能人は歯が命」のTVCMをシリーズ化し制作。ハワイやフランスでもロケを行い、タレントを変えてはCMを打ち続けた。
佐久間はこのヒット後、ことあるごとにサンギの基本方針を強調した。「うちは歯みがきメーカーになるつもりはない。もっと幅の広いフレックスウェア企業になることを目指すんだ」。つまり業種や業態にこだわらない、自由な形で仕事を進めたいのだ。
歯みがき剤開発の傍ら、歯や骨の主成分である「ハイドロキシアパタイト」を応用した様々な研究開発に取り組み、歯みがき剤で得た利益を全て注ぎ込んだ。
現在も残る埼玉県春日部市の研究所以外にも、大阪、新潟、札幌と4つの研究所を立ち上げ、理美容用ハサミ、洗濯用の抗菌剤、浄水器、土壌改良材、骨粗鬆症の診断薬と治療薬など、様々な分野の数多くの商品開発をスタートしたのだ。
*日経POS 96年12月練り歯磨き月間売上ランキング1位